まるで高電圧の電流を両手に流したような感覚が自分を襲う。
その初めて味わう感覚に驚きながら、めまいと猛烈な吐き気で自分は椅子から床に崩れ落ちた…。
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倒れる前兆はあったと思います。一昨年2019年頃のことです。
その頃は、仕事に行く前に何となくめまいがして、次第に気分も悪くなって、結局会社に電話して体調不良で休みを取ったり…
ある時は会社に着いたものの同僚から「大山さん、顔色悪いっすよ」と言われ、時間が経つにつれてどんどん気分が悪くなり結局早退したり…
そして昨年2020年、あまりにめまいが頻繁に起きるので、耳鼻科に行ってみました。
脳外科とかではなく耳鼻科を選んだのは、めまいが起きる原因が自分自身でなんとなく推測できたからです。なぜならめまいに伴って、耳の奥がなんとなくツーンとするような、プールに入って耳に水が入ってしまったような、何か耳がくぐもった感じがしたからです。
診断の結果は突発性難聴。
原因については医師から様々に指摘されましたが、最も当てはまりそうなのが、ストレスです。
大抵、サラリーマンならストレスを感じてない人なんていないでしょう。ただ自分の場合は若い時から私生活でも常に全力を尽くすタイプであり、あまり、というかほとんどのんびり過ごすことが(平均的な人よりは)圧倒的に少ないのです。
まあ、それが当ブログで「効果的な休養研究所」などという不思議なタイトルで、様々な記事を書いている理由でもあるのですが…
ただ長年蓄積したストレスが、ついに突発性難聴という状態にまでなってしまったからには、少しストレスを軽減する生活スタイルにせざるを得ません。
以降、色々なことを出来るだけゆっくりやるように心がけてストレスの少ない生活を送るようにしたのです。
しかし、それから約10日後のことです。
その日は夜勤の日で、仕事は22:30からです。
なので日中は割とリラックスして過ごしているのですが、16:30頃、また軽いめまいがしてきました。
「めまいがひどくなると会社に行けなくなってしまう」と不安を感じつつ、気持ちを落ち着けようと椅子に座ってゆっくり深呼吸してみました。
すると落ち着くどころかますますめまいがひどくなり、しかも両手がまるで電気を通したようにビリビリに痺れてきたのです。
初めての体験に驚きつつも、気分はどんどん悪くなってきます。
そしてついには椅子にも座っていられなくなり、床に寝っ転がるしかありませんでした。
とにかく吐き気がすごいのですが、立ち上がるとますます吐きそうになる為に、這ってトイレまで行きました。
ただ、タイミング的に胃の中には何も残っていなかったようで吐くまでには至りません。
とはいえもの凄いめまいと、吐き気、両手の痺れがあり、安静にしてれば落ち着くというレベルではないと判断した自分はすぐさま、
救急車を呼ぼう、と決意しました。
そして寝転がりながら、まずは会社に電話して体調不良で休むことを伝えると、すぐ119番に電話しました。
細かいやり取りは忘れてしまいましたが、確か住所と電話番号を伝えたと思います。
さらに、先方からは住んでいるアパートの2階の状況を聞かれたような気がします。多分、救急隊員が自分を階下に降ろせるかどうかの把握の為だと思います。
電話をかけ終わり、救急車が来る5分くらいの間に、財布と保険証などをそれぞれ這いつくばって用意して、あとは玄関の鍵を開けて、横になって待ちました。
そして待つこと数分、アパートの階段を上がる複数の足音が聞こえてきました。
そしてドアをノックする音…
自分は吐き気が酷い為、薄目を開けていたのですが、何人かの白っぽい服を着た救急隊員の人達の姿が見えました。
そして、自分は吐き気でとても立てないことを伝えると、隊員の人達は丈夫そうな厚手の布に自分を乗せて、布の端っこを隊員の人達がそれぞれ持って、階下まで下ろしたのです。
ちなみに記憶違いかもしれませんが、この布はよく見かける布の端に持ちやすいように棒がついているタイプではなかったような気がします。
そして、救急隊員の人達によって下まで降ろされます。この間もほとんど目は開けていなかったのですが、階下についてからは気配で隣近所の人達が集まって自分を注目しているのがよくわかりました。ちなみに服は部屋の中で着ているヨレたようなジャージだったのでやや恥ずかしかったです。
そして、救急車の中に乗せる為の専用のストレッチャーみたいなのに移動したあと、スムーズに救急車の中へ。
救急隊員の人から、家族に電話するように言われて電話すると10数分くらいで来てくれました。そして救急車の後から自家用車でついて来るように指示されていたような気がします。(または、目指す病院を口頭で伝えられて後からすぐ来るように言われていたのかもしれません。)
そして救急車の車内では自宅から20分くらいかかる病院へ向かうことを伝えられ、発車したのです。
サイレンを鳴らしながら走る救急車。車内では隊員がすぐに自分の血圧測定をし、左手の中指に洗濯バサミみたいなのをつけて何かを測定しています。
さらに隊員さんは、矢継ぎ早に自分に今までの病歴などを質問していきます。
吐き気が続いている中、質問されること自体はまだそれほど苦でもなかったのですが、問題は別にありました。
噂には聞いていましたが、救急車の走行時の振動が結構あるということ。(この振動は容体が悪い患者には良くないので、予算があればレクサス級の振動があまりない仕様にして欲しいです)
また、車内の簡易ベッドみたいのに寝かされていたのですが、ベッドが硬いのは仕方ないとしても、枕がないので吐き気には大敵です。これについては隊員さんに枕をしてほしいことを伝えると何か別のもので代用して枕にしてくれました。
そんなことをしているうちに救急車は、目的の病院に着きました。
救急車から降ろされて、病院内に素早く運ばれていきます。
そして建物の入り口からさほど遠くない病室に入ると、看護婦さんがすぐに点滴をしてくれました。
病室には他にもう1人か2人、看護師では無さそうな若い男性がいました。
そしてベッドに横たわる自分に向けて、「脳波を調べる為にMRI検査をしたいのだが、自力で立てますか?」と聞いてきたのです。
自分は上半身を少し上げてみようと試みたところ、猛烈に吐き気がする為、とてもではないが立てないことを伝えました。
「ではMRI検査はしばらく休んでからにしましょう」と、男性に言われてしばらく安静にしていることになりました。
「なんとか吐き気だけでも収まらないだろうか…」などとぼんやり寝ながら考えていました。
病室では看護婦さんと男性がなにやら動いています。
すると…自分の体調にある変化が…
オ○ッコがしたい!
一難去ってまた、一難。いや、厳密には吐き気も収まってないので、ニ難です。
上半身さえ起こせない状態で、オ○ッコが猛烈にしたくなりました。
この状況下は、つまり、寝たままで排尿(漢字で書くと真面目な印象になります)するしかないのだろうか?
と、いうことはつまり寝たままズボンを下ろして、尿瓶を使用するしかないのか?
病院の男性に見られるのは嫌だが、看護婦さんに見られるのはもっと嫌だ…
なんとか吐き気が収まって自分でトイレに行けないものだろうか。
試しに少しだけ上半身を起こしかけてみる。が、すぐさま猛烈な吐き気が襲う。
吐き気は収まりそうにない。
いよいよ看護婦さんの前でズボンを下ろさないといけないのか?
尿意は容赦なく高まり、決断の時は刻々と迫っていった。
後編に続く。