自力で立てない。
高まる尿意。
看護婦さんの目…
寝ながら尿瓶を使うか、決断を迫られるなか、
仕方ない、ズボンを下ろそう!と決めました。
看護婦さんの目は気になるものの、不幸中の幸いというべきか、
看護婦さんの年齢が見た目、50代後半くらいだったからです。
「60近いおばさんにチ○コを見られたところでどうなるものでもないだろう」と考え、看護婦さんにオ○ッコがしたいことを伝えると、すぐに尿瓶を持って来てくれました。20代の看護婦さんだったら小学生のように泣いていたかもしれません。
ですが、あまりにオ○ッコを我慢したせいか、または横になっているからなのか…出ません。
しばらく試みてみましたが、結局出ませんでした。
せっかく羞恥心に打ち勝った末の行動だったのに、何か損をしたような気分になりました。
しかし、その数分後、そんな感傷的な気分がいかに贅沢なものだったかを思い知らされます。
オ○ッコが出ない為、ズボンを上げてから10分後くらいでしょうか。
今度は、お腹のあたりがギュルギュルと痛み始めたのです。
ギクリとしたものの、「気のせいに違いない」と思い込もうとしました。
しかし、そんな安易な暗示にかかるほど人生は甘くありません。お腹の痛みは容赦なく襲ってきます。
つまり明らかにウ○チがしたくなったのです。
しかもそれは緊急を要するバージョンです。
長年生きてきた経験上、「これは10分ももたないだろう。いや、5分くらいしかもたないかも…」と感じました。
今は、小さい波でもいつビッグウェーブが襲ってくるかわかりません。ましてや初めて来た病院でトイレの位置などわかるはずもないのです。
ひょっとしたら、病室からかなり廊下を歩かないとトイレに辿り着けないかも…
そのような思考を巡らしている間も、お腹に打ち寄せるさざ波は少しずつ大きくなっていきます。
「これはもう5分もたない!」
意を決した自分は、看護婦さんにお腹が痛いのでトイレに行きたいことを告げると、看護婦さんは車椅子を用意してくれました。
ところが、どんどん波が大きくなり、悠長に車椅子に乗ってなんかいられません。
「ウ○チ漏らすくらいなら、吐き気なんかどうでもいい!」
自分はベッドから起き上がり、看護婦さんが「大山さん、スリッパを履いて、スリッパ!」と注意するのも聞かず(スリッパ履く時間も惜しかった)素足で廊下に飛び出たのです。
もう時間との戦いです。
漏らすのが早いか、それとも便座に座って勝利の美酒に酔うか、運命の時は迫りました。
看護婦さんがトイレの方向を指します。幸いにもトイレまで20メートルくらいでした。
早足でトイレに飛び込みます。
❗️……………………………‼️
……勝利の女神は自分に微笑んだのです。
その後、何回かトイレとベッドを車椅子で往復しました。
ようやく落ち着いたのが1時間後くらいです。
その頃には別室に移動しており、吐き気も完全ではありませんが、収まってきました。
そしてようやく脳に異常がないか検査する為、MRI検査を生まれて初めて行うことができました。
イメージ的には、CTスキャンのようにカプセルみたいな機械の中に仰向けに寝ながら頭から突っ込みます。
当時、何か頭に被せていたような気もしますが、ちょっと思い出せません。
ただ、約20分くらいでしょうか。カプセル内の中で「コーン、カーン、スコーン」という音が断続的に鳴り響いていました。
どんな仕組みなのかはわかりませんが、これで脳波?に異常があるかどうかがわかるようです。
検査が終わり、ベッドで点滴を打ちます。
30分くらいで医師がやってきました。
検査結果は脳に特に問題はないとのこと。
今回急激なめまい、吐き気がしたのは、おそらく突発性難聴の関連だと思うので、改めてかかりつけの耳鼻科に検査してもらうように言われました。
そして後日判明した病名は、
急性低音障害型感音難聴
この病気にかかる人の特徴は、
「わりとキッチリしている人になりやすい」とのこと。やはりストレス性のものが原因になりやすいそうです。
医師からは「怠けるのも大事です」と言われてしまいました。
話しを戻します。結局MRI検査で異常がなかったことから、1時間くらいベッドで休んだ後、自宅に帰りました。
今回、救急車に乗るのは生まれてから2回目です。1回目は幼少の頃道の溝にハマって怪我をした時です。
成人してから救急車に乗る場合の注意点としては、
①スマホ
②保険証
③お金
④その時点で他の病院からもらっていて定期的に服用している薬
上記の4点を持っていくことです。
①と②に関しては常識だと思いますが、③のお金に関しては何故か自分は、「この手の緊急時での治療にかかったお金は、後から請求書が送られてくるに違いない」という思い込みをしていたのです。
ですが、病院を出る時にはしっかり治療費を請求されました。10400円です。
財布にはそこまで持ち合わせがなかったので、結局後日また病院までお金を払いに行きました。
という訳で救急車に乗る時は、2〜3万円くらいは持って行った方がいいでしょう。
あとは、日頃服用している薬です。これに関しては当てはまる人は多くないとは思いますが、念のため。
実は、救急隊員が自宅に来た時に、服用している薬があったら教えてくださいと言われたのです。
そして、その時点では吐き気で居間まで移動が困難な為に、隊員の方に部屋のどこそこ辺りに薬が置いてあるので、部屋に上がって取ってきてくださいと頼んだのでした。
おそらく、病院に行ってからの治療との兼ね合いで日頃服用している薬の情報が必要なのだと思われます。
ともあれ、心ならずも救急車に乗らないといけない状況になった場合は、①スマホ②保険証③お金(2〜3万)④服用中の薬、の4点はしっかり持って行った方がいいです。
最後に、その後、めまいがどうなったかですが、おかげさまでほとんど再発することもなく過ごせています。
ただ、年齢相応の疲れは油断できないので、お風呂にゆっくり浸かるなどをして意図的にリラックスする時間を取るようには心がけるようになりました。
「健康生活は日々、利子を産み出す」という言葉が健康になるとよくわかるようになりました。
では、みなさんも健康には充分配慮されますように。